家族信託とは

家族信託とは「自分の財産を、信頼できる家族に託し、財産の管理、運用、ときには売却」などを行ってもらう制度です。

柔軟な財産管理ができるため、高齢者の方の「認知症対策」として、非常に有効です。

家族信託とは

なぜ、「信頼できる家族」がいるのに、この制度が必要なのでしょうか。

次の活用例を見ていきましょう。

活用例

ある日、父親が認知症になり、老人ホームに入居したとします。子供は、父親の銀行口座からお金を引き出し、介護費用にあてようとします。

しかし、お父さん名義の口座から、たとえ子供であっても、銀行はお金を下ろすことを許しません。同じように、空き家になった実家を売却したくても、「本人の意思確認」ができないため、お父さんが認知症になった後では、家の売却はとても難しいのです。

それでは、親も子も困ってしまいますね。

このようなことを未然に防ぐために、「家族信託」という制度を使い、親が元気なうちに子どもへ財産を託します。

管理・運用の権利は子供がもっているため、お父さんのために、預貯金を下して老人ホームの入居費へあてたり、空き家になった実家を賃貸して家賃を得て、それをお父さんのために使ったりなど、財産の管理がスムーズに行えます。

「家族信託」とは、資産家のためのものでなく、どなたでも気軽に利用できる制度です。

家族信託イメージ

料金について

実際に家族信託をおこなう場合、下記の料金がかかります。

信託設計コンサルティング費用

お客様のご要望を聞き取りながら、どのような信託設計が良いのかをご提案します。

「成年後見」「遺言」など、他の制度と比べ、本当にお客様にとって「家族信託」がベストなのかを検討する必要があります。

信託財産の評価額 報酬額
3000万円以下 330,000
5000万円以下 550,000
5000万円超〜1億円以下 1.1%
1億円超〜3億円以下 0.55%
公正証書の作成手数料

公証役場で「公正証書」を作成するための手数料です。公証役場へ支払います。公証人が契約内容を証明するため、信頼の高い契約書となります。

また、税務調査があったとき、信託契約を締結した証拠として提示することができます。

信託財産の評価額 報酬額
500万円超〜1000万円以下 17,000
1000万円超〜3000万円以下 23,000
3000万円超〜5000万円以下 29,000
5000万円超〜1億円以下 43,000

信託財産に不動産がある場合には、不動産の名義を「 親(委託者)」 から「 子供(受託者)」 へ登記変更する必要があります。そのため、「登記費用」と「登録免許税」が別途必要となります。

「登記費用」とは、司法書士などの専門家へ信託登記を依頼する際の報酬となります。
だいたいのお客様が8〜12万円の範囲となっております。

「登録免許税」とは、不動産を登記するときに課される税金です。法務局へ支払います。

土地・・・固定資産税評価額の3/1000
建物・・・固定資産税評価額の4/1000

たとえば、評価額2000万円の土地を信託する場合には、6万円の登録免許税がかかります。

モデルケースでシミュレーションをしてみましょう。
信託する財産によって費用は大きく増減するため、目安としてご参考ください。

ケース A

信託財産: 現金 2000万円

① 信託設計コンサルティング費用 330,000
② 公正証書の作成手数料 23,000
合計 353,000

ケース B

信託財産:土地2000万円 + 建物1000万円

① 信託設計コンサルティング費用 330,000
② 公正証書の作成手数料 23,000
③ 登記費用 99,000
④ 登録免許税  100,000
合計 552,000

家族信託の費用は高いのか?

結論からいうと、けっして高い初期費用ではない場合が多いのです。

たしかに、家族信託は「30万円~70万円」と高額な初期費用がかかります。しかしながら、もし、認知症になった場合に「成年後見制度」を利用したとして、初期費用は5〜10万円と安いですが、成年後見人に私ども司法書士などの専門家を選任した場合、毎月3~5万円くらいの費用がかかってしまいます。

認知症の介護期間は6~7年といわれています。

そのため、生涯を通じて計算すると、家族信託のほうがずっと安くすむケースが多いのです。

例)財産額3000万円の場合 (土地2000万円、建物1000万円)

まとめ

ここ最近、「家族信託」は、高齢者の認知症対策として多くのメディアで取り上げられています。そのため、一般の方にも広く知られる制度となりました。

平均余命が伸び、両親が長生きしてくれるのは大変うれしいものです。しかしながら、超高齢化社会の到来で、親の家や土地はあるのに、それを子供が適切に運用・管理することができず困っている家族が増加しています。いま、判断能力のあるうちに、将来のことを考えておく必要があるのだと思います。

家族信託に精通した専門家に相談することは必須ですが、あわせて、成年後見、遺言、相続に熟知しているかどうかも重要です。

ご相談内容によっては、信託までは必要なく、遺言ですむ場合もありますし、逆に、信託だけでは要望をカバーできないときなど成年後見があわせて必要になることもあります。

どなたでも、どんな小さな財産でも、家族信託を使えます。敷居が高いと思わずに、お気軽にご相談ください。

誠心誠意、ご対応させていただきます。

お気軽にお問い合わせください。042-850-8020平日9:00-19:00 土日祝 10:00-18:00

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