成年後見制度とは?

成年後見制度とは、「認知症」や「知的障害」などの精神上の障害により「正しい価値判断ができなくなってしまった人」を支援する制度です。

成年後見制度の種類

成年後見制度には「法定後見」「任意後見」の2種類があります。
それぞれの特徴をみていきましょう。

法定後見と任意後見

① 法定後見制度

判断能力がすでに衰えてしまっている場合に利用できます。支援がどこまで必要かに応じて、

  • 後見
  • 保佐
  • 補助

の3つがあります。家庭裁判所に申立てをすると支援が開始します。

テレビやメディアなどで取り上げられている成年後見は、ほとんどが「法定後見」です。

成年後見の利用者数(令和元年12月末時点)

成年後見制度の利用者数

出典:最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況

② 任意後見制度

判断能力が確かなうちに、判断能力が衰えたときの支援内容や支援する人(任意後見人)を決めます。そして公正証書で契約します。実際に、判断能力が衰えたら、契約に基づき、任意後見が開始します。家庭裁判所は、任意後見人がしっかりと仕事をしているかを監督人を選任してチェックします。

成年後見人の仕事

成年後見人の仕事は大きく分けて「財産管理」と「身上監護」の2つがあります。

本人の意思を尊重し、心や身体の状態などに配慮しながら、必要な代理行為を行うとともに、本人の財産を適正に管理していくことが大切です。

① 財産管理

本人に代わって財産の管理を行います。その内容は日常生活のお金の管理から財産の処分まで多岐にわたります。

  • 現金、預貯金の管理
  • 不動産の管理
  • 株式、有価証券の管理
  • 税金の申告・納税

② 身上監護

本人の状況に変わりがないか、定期的に訪問して「身守り」をすることが基本になります。

  • 医療に関する利用契約を結ぶこと
  • 施設への入所契約を結ぶこと
  • 介護に関する利用契約を結ぶこと

どんな理由で後見申立をするのか?

毎年、家庭裁判所より公表される統計データによると、成年後見申立てをする主な動機として、1番多いのが預貯金等の管理・解約となっています。

成年後見申立ての動機別件数

成年後見申立ての動機

出典:最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況

「預貯金等の管理・解約」とは、たとえば、認知症となった親の代わりに財産を管理したり、本人に代わって預貯金等を引き出して施設費用にあてたりすることができます。

誰が後見人になっているか?

誰を後見人に選任するかは裁判所が決定します。「後見人は身近な親族を選任することが望ましい」と思いますが、たとえば、85才の認知症の兄を、隣り街に住んでいる80才の弟が後見人になるのは、高齢の弟には大変負担になり、身内がいても後見人候補が現実的にはいないケースも少なくありません。

成年後見人等と本人の関係

出典:最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況

親族以外の内訳

成年後見人等と本人の関係(親族以外の内訳)

出典:最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況

司法書士は、親族以外の後見人の中で1番多く家庭裁判所より選任されています。

まとめ

私どもでは、認知症などにより判断能力が十分ではない方が、地域で安心して生活できるよう成年後見制度の利用を支援しています。成年後見等の申立書の作成や、任意後見契約書作成のお手伝いなど、お気軽にご相談ください。私自身が後見人として後見事務をしておりますので、実際の経験からお答えできることも多いかと思います。丁寧にご対応させていただきます。

藤本清美

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